日本産科婦人科学会「2021年の体外受精・胚移植等の臨床成績」と当院の臨床成績

2023年8月に日本産科婦人科学会から、2021年に日本で行われた体外受精・胚移植等の臨床成績が発表されました。 体外受精は、日本産科婦人科学会に登録し認可された施設が行っておりますが、登録施設は、治療開始から妊娠・出産経過について、症例ごとに登録することが義務付けられております。 日本産科婦人科学会は、全登録施設から報告されたデータを元に、毎年、生殖補助医療の成績をまとめ・解析、その結果を発表しています。出産までをフォローしているため、2023年9月時点では2021年のデータが最新となります。 ここでは、2021年の体外受精・胚移植等の臨床成績と当院の臨床成績についてご紹介します。

2021年の治療・移植・妊娠・生産周期数

全国の採卵周期数は255,560周期、凍結融解胚移植は236,211周期が実施されております。 女性の年齢別の治療・移植・妊娠・生産周期数が下図です。

日本産科婦人科学会の報告「2021年データブック」より

このグラフは、各年齢でどのくらいの人が体外受精を行っていて、その結果どのくらいの人が妊娠・出産に至っているかを見ているものになります。 治療をしているのは、39~42歳の方が多いのですが、妊娠・出産周期数を見ると41歳頃を境に減少しています。これは年齢が高くなるほど妊娠率が下がるため、治療している方が多くても実際に妊娠・出産に至る人は少ないことを示しています。 全登録施設の生産周期数は67,833周期、出生数は69,797人です。これは、2021年の全出生数(811,604人)の8.6%にあたり、約11.6人に1人の割合になります。

2021年の妊娠率

当院の胚移植は、約9割が凍結胚盤胞による胚移植です。ここでは、凍結胚盤胞を移植した場合の妊娠率を示します。

日本産科婦人科学会の報告「2021年データブック」をもとに当院が作成

※胚移植1回あたりの臨床的妊娠率(胎嚢確認)です。妊娠判定が陽性に出るのみで胎嚢が確認できない化学的妊娠は含みません。 日本産科婦人科学会のデータについては、毎月実施している「ARTセミナー」内でも、院長の五十嵐医師が紹介しております。是非ご参加ください。 今回ご紹介したデータは一部ですが、日本産科婦人科学会のデータは日本の状況を把握することができるものですので、それを踏まえ1%でも高い妊娠率、一人でも多くの出産を目指し、皆さまの希望が叶いますよう、誠心誠意取り組んでまいります。