日本では、妊娠を希む健康な男女が1年間避妊せず夫婦生活を送っているにもかかわらず、妊娠しない状態を「不妊」と定義しています。また、不妊は女性だけの問題ではなく、3〜4割は男性に、2割は双方に原因があるものです。したがって、当院ではご夫婦で検査を受けられることをお勧めします。
不妊治療の検査方法
必要に応じて、以下の検査を行います。
- ホルモン検査
月経開始2〜4日目(FSH、LH、PRL、E2、T)
排卵直前(E2、LH)
排卵後5〜7日目(E2、P) - 子宮卵管造影(月経終了後〜排卵の前)
- 頸管粘液検査(排卵直前)
- フーナーテスト(排卵直前)
- 超音波検査
- 子宮鏡検査(月経以外の時期)
- 抗精子抗体
不妊治療の手順
通常、自然に近い方法から治療を開始し、一定の期間で成果が見られない場合には、妊娠の確率が高い治療内容にステップアップしていきますが、年齢やご事情に応じて異なる場合があります。
- ステップ1(自然排卵による治療)
- ステップ2(排卵誘発剤による治療)
※ ステップ1、ステップ2の治療を継続してご希望の場合は、他の医療機関をご紹介いたします。
–当院ではこれより下の治療が主となります–
ステップ3(人工授精)
- 自然排卵による人工授精
- 排卵誘発剤を併用した人工授精
ステップ4(高度生殖医療)
- 体外受精・顕微授精
などがあります。
女性年齢と妊娠・出産
- 卵巣機能は年齢とともに低下します。
- 最も妊娠しやすいのは女性年齢が30歳未満で、特に35歳以降は卵子の質の低下に伴い妊娠率が低下し、それとともに流産率が上昇します。
- 女性が45歳以上の妊娠は奇跡的な確率であり、妊娠してもほとんどが流産してしまいます。
- 女性年齢が上がると、妊娠合併症が増加します。高齢妊娠・出産のリスク(妊娠合併症)として、流産、早産、子宮内胎児発育遅延、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、妊娠糖尿病が挙げられます。また、自然分娩ができず、吸引分娩や帝王切開のリスクが高まります。また、母体合併症のみならず、胎児の染色体異常(ダウン症など)の可能性が上昇、早産や子宮内胎児発育遅延による低出生体重児は、呼吸窮迫症候群、動脈管開存、慢性肺疾患、未熟児網膜症、新生児脳内出血、脳性麻痺、子宮内胎児死亡などのリスクが上昇します。
- 高齢妊娠の全てがリスクに直面するということではありませんが、女性年齢が35歳以上の場合、できるだけ早く妊娠することが流産予防、より安全な妊娠・出産につながります。
不妊予防のための10か条
日本不妊予防協会による「不妊予防のための10か条」は以下のようになります。
- 生殖機能は生殖のためにあることを再認識する
- 規則的な生活習慣を心がける
- メンタルヘルスの自己管理に努める
- 安全で健康的な性生活を送ろう
- 喫煙・飲酒習慣、嗜好品、常用薬の制限
- 加齢は生殖の大敵(安全生殖年齢)と知るべし
- ワーク・ライフバランスが大事
- 食生活の改善と適正体重を維持しよう
- 基礎体温は若さのバロメーター
- 異性との交際が始まったら年1回検診を受けよう