コラム

COLUMN

がん・生殖ナビゲーター看護師

2021年度よりがん患者に対する妊孕性温存療法への法的制度が開始され、「がん生殖医療ネットワーク」が各地域で整備され始めております。
私は、今年5月にがん・生殖ナビゲーター看護師の養成講座を受けました。
小児・AYA世代(15歳~39歳)患者への治療の改善により、がんサバイバー(がん経験者)が増加しています。一方で、がんに対する治療内容によっては、妊孕性に影響を及ぼすことが知られており、がんサバイバーが不妊となることや性ホルモンの分泌低下を来すことが明らかとなっています。がん治療が生殖機能に与える影響について適切な説明を行い、がん医療と生殖医療が連携して、患者さまの意思決定を支援していくことが求められています。そのため、がん・生殖に関わる看護職の人材育成が急務となり、今回の講座が開始されました。
今回の講座では、がん・生殖医療の総論と生殖医療・がん医療の基礎知識・意思決定支援のロールプレイを行いました。がん医療の治療内容や手術部位、化学療法、放射線療法の基礎知識、妊孕性に与える影響について基礎から学ぶことが出来ました。
ロールプレイの参加メンバーの中には、生殖医療、乳癌治療、緩和ケア専門看護師と助産師がいました。意思決定支援は、患者本人や家族が、「がん治療や妊孕性温存に対してどのように考えているのか」「病気に対する思い」「癌と診断されたことに対しての思い」「子供に対する思い」などを確認しながら、患者本人と家族がどのように意思決定をしていくのか医療者側がどのように支援していくのかなど、今後の連携についても考えるきっかけとなりました。
意思決定支援といっても、がん治療側、生殖医療側ではアプローチの仕方が異なること、年齢により支援の仕方が異なること、確認事項等も異なることを学びました。
がん治療とともに個々の将来の妊娠や出産に関して最良の選択と、妊孕性温存療法について少しでも不安を取り除けるような看護支援を行えるよう、日々努力していきたいと思います。

京野アートクリニック仙台

看護部 太田百恵

参考文献

一般社団法人 日本癌治療学会、小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン、金原出版株式会社、2017年版