コラム

COLUMN

体外受精の方法と料金について

今回は体外受精の方法と、その費用についてご紹介します。
受精の方法につきましては、当院の以前のコラムでも取り上げております。
以前のコラムは以下のリンクからご覧ください。

媒精方法について | 不妊治療 京野アートクリニック仙台
https://ivf-kyono.jp/column/1203/

体外受精の方法について

当院で行っている受精の方法には、通常の体外受精(cIVF)、顕微授精(ICSI:イクシーと読みます)とSplit法の3つがあります。

  • cIVF(conventional IVF)
    cIVFは、専用の容器の中で卵子の周りに精子を加える方法です。精子が泳いで卵子に到達することで受精が成立します。卵子と精子を合わせるだけですので、後述するICSIと比較して、自然の受精に近い方法だと言えます。しかし、精子の運動率や濃度が低い場合には良い受精率が期待できません。そのため、事前の精液検査で精液所見が良好であることを確認したうえで実施する必要があります。
  • ICSI
    ICSIは、いわゆる顕微授精のことです。ICSI専用の細いガラスピペットを使い、精子を卵子内に直接注入する方法です。受精するまでの過程に異常があって受精が困難な場合には、とても有効な方法だと言えます。また、精子が1コでもいれば受精させられる可能性があることから、精液所見が良好ではない場合にも有効です。
  • Split
    Splitは、採れた卵子の個数を半々にし、cIVFとICSIをそれぞれ行う方法です。例えば、採卵で10個採れた場合、5個にはcIVFを行い、残り5個にはICSIを行います。cIVFでは受精しない(受精障害と言います)原因がある場合に一つも受精卵が得られないのを避けることができます。主に、当院で初めて生殖補助医療を受けられる患者様で、精液所見に異常が無い方が対象となります。cIVFとICSIそれぞれの受精率や胚の発生具合を比較し、その後の治療方針の参考にします。

料金について

cIVFは卵子の個数に関係なく、一定の料金となっております。ICSIは実施した卵子の個数によって料金が異なり、実施数1個、2~5個、6~9個、10個以上の4区分に分かれております。
Splitは、cIVFの半額の料金に加え、ICSIの実施個数に応じた料金の合計となります。

2022年4月から開始した保険診療に伴い、治療を保険診療で行うのか、保険診療外(いわゆる自費診療)で行うのかによって、同じ体外受精の方法も、患者様にご負担いただく料金が異なります。保険診療の場合は国内どこの施設で治療を受けても、医療費は国が決めた保険点数×10円の3割負担となります。

自費診療の場合はクリニックが自由に費用を設定できるため、保険診療よりもかなり高額になることがありますが、当院では自費診療の場合も保険点数×10円と同じ料金(保険診療料金の10割)+税としております。
当院における体外受精料金の詳細は以下の通りです。

  • 保険診療(患者様ご負担額)

1. cIVF

\12,600

2. ICSI

1個

\14,400

2~5個

\20,400

6~9個

\30,000

10個以上

\38,400

3. Split

\6,300(cIVF)+ 2.の顕微授精料金

例)6個採卵ができ、SplitでcIVF3個、ICSIを3個実施した場合

ICSIを3個実施すると2~5個の区分になりますので、ご負担いただく料金は以下のようになります。

\6,300 (cIVF)+ \20,400(ICSI 2~5個)= \26,700

  • 自費診療

1. cIVF

\46,200

2. ICSI

1個

\52,800

2~5個

\74,800

6~9個

\110,000

10個以上

\140,800

3. Split

\23,100(cIVF)+2.の顕微授精料金

※自費診療の場合、精子調整費 \16,500が掛かります。

例1)2個採卵でき、ICSIを2個実施した場合

\16,500(精子調整費)+ \74,800(ICSI 2~5個) = \91,300

例2)6個採卵ができ、SplitでcIVF3個、ICSIを3個実施した場合

\16,500(精子調整費)+ \23,100(cIVF)+ \74,800(ICSI 2~5個)= \114,400

実際の治療の際には、今回ご紹介した料金の他に、採卵料や培養料等もご負担いただきます。詳細は以下のリンク先をご覧ください。

料金一覧 | 不妊治療 京野アートクリニック仙台

https://ivf-kyono.jp/medical/cost/

今回ご紹介した内容に関することはもちろん、その他のことで不明な点等ございましたら、お気軽に当院スタッフにお問い合わせください。

京野アートクリニック仙台

培養部 立原昂平

参考文献

「生殖補助医療(ART) 胚培養士の理論と実際」日本卵子学会